【連載:Yamagata Roots】第2回:ITとフルリモートで地域に貢献。AI時代だからこそ輝く「食と農」の価値(株式会社ROIT代表取締役・柿崎直紀氏)

2026.03.30

~山形で育まれた原点が、今の支えに~

「Yamagata Roots」は、首都圏など県外で活躍する本県にゆかりのある方々に光を当てる企画です。今回登場していただく戸沢村出身の柿崎直紀氏は、システム開発会社ROIT(東京都中央区)で代表取締役を務め、ITを活用して地域活性化に貢献する「地方LABOプロジェクト」にも取り組んでいます。現在は東京とシンガポールの2拠点生活を送る柿崎氏に、自社の取り組みや故郷へのメッセージを聞きました。

「ITの投資効果を最大化」をミッションに起業

2016年、勤務していた大手システム会社を退職し、「ITの投資効果を最大化する」をミッションに掲げてROIT(ロイト)を創業しました。現在はマイクロソフト社と連携し、マーケティング、営業、出荷・在庫管理、会計、分析まで、お客さまである企業の業務プロセスに沿ったビジネスアプリケーションを提供しています。

スピードと技術力、AI活用でアジア展開も

競合に大手システム会社が多い中、私たちが強みとしているのは「スピード」と「技術力」です。近年は生成AIの技術も積極的に取り入れ、早く、低コストで、高品質なシステムを提供する仕組みを構築しています。またアジアに展開する日本企業のニーズを想定し、昨年、シンガポールと上海に現地法人を設立しました。私も昨年からシンガポールに移り、東京と行き来しながら体制づくりを進めているところです。

四半期ごとに東京で集う全体MTGの様子。この後、懇親会を開いている

フルリモートを活かし、ITで地域課題の解決へ

一方で会社の取り組みとして、自社の知見や技術を活用して地域に貢献する「地方LABOプロジェクト」を展開しています。私たちの会社はフルリモートの働き方を導入し、国内外の各地に社員がいます。地方在住のメンバーが多いからこそ、地域とコミュニケーションを取り、IT技術で地域の課題解決に関わりたい、さらに地方の優秀な人材と一緒に働きたいという思いがあり、このプロジェクトをスタートさせました。実際、鹿児島県在住のメンバーが地元の優秀な企業とつながり、パートナーとして一緒に仕事をする流れが生まれています。

いつか山形の中高生に、最先端のIT環境を見せたい

私自身、創業当初から「いつか地元に貢献したい」という思いを持ち続けてきました。私は戸沢村神田地区で生まれ育ち、新庄北高校時代にSEという仕事を知ったことがきっかけで、情報通信業界を志しました。ROITのパートナー企業であるマイクロソフト社には、先進的なIT環境を整えたオフィスがあり、「自分が高校時代にここを見学できたら刺激を受けたただろうな」と思うんです。いつか山形の中高生を招待して、AI技術などを見学してもらう機会をつくりたいですね。

一度県外に出て、山形の良さや「農」の価値に気付いて

地元の若い世代に伝えたいのは、「山形を良くしたいなら、一度県外に出てほしい」ということです。東京でも、海外でもいい。外に出ることで、初めて山形の良さも課題も見えてきます。その上で、いつか地元に貢献する道を選んでもらえたらうれしいです。

私のような仕事はAIの発達によって消えてしまうかもしれませんが、人が「食べる」という営みが続く限り、農業はなくなりません。おいしいものを作ることにはかけがえのない価値があります。山形の食や農という資産を守っていくため、これからも自分が貢献できることを考えていきたいと思っています。

【コラム:ふるさとの思い出】

戸沢小、戸沢中、新庄北高を経て東京の大学に進学しました。地元の先生方や家族には、とても感謝していて、特に戸沢で親を支えてくれている弟たちには頭が上がりません。山形の食べ物はなんでもおいしいのですが、米農家の父が作ったつや姫が一番おいしいですね(笑)。会社には、起業した時に父にもらった天童の「左馬」の置き駒を飾っています。ここまで会社を成長させることができたのは、その力もあるかもしれません。

■プロフィール

株式会社ROIT 代表取締役 柿崎直紀氏
かきざき・なおき 1982年戸沢村生まれ。電気通信大学電気通信学部卒。株式会社NTTデータで10年間、大手建設会社や大手飲料メーカーの統合業務システム等の導入に従事。2016年、クラウドを活用した顧客満足度の高いシステムの提供を目指し、株式会社ROITを設立。

株式会社ROIT(ロイト)
東京都中央区日本橋箱崎町1-2 THE SHORE 日本橋茅場町2F
公式サイト(リンク:https://www.roit.co.jp/ )

この扉の向こうに、新しい山形を発見。