モンテディオプレスぷらす「堀金峻明選手インタビュー」

2025.10.18

モンテディオ山形の新星、FW堀金峻明選手。ルーキーイヤーの現在地とこれからの夢。

モンテディオ山形の新星ストライカー・大卒ルーキー堀金峻明選手。プロ1年目ながら、ここまでリーグ戦23試合に出場し3ゴールを記録(10月15日現在)。確かな手応えとプロの壁に直面する今、何を思うのか。サッカーを始めた少年時代から、プロの舞台に立つまでの道のり、そしてピッチの外での素顔まで、たっぷりとお話を伺いました。(取材日:2025年10月15日)

サッカー人生のスタートと「謎の自信」

―サッカーを始めたきっかけを教えてください。

3人兄弟の末っ子で、4歳と2歳上の兄がサッカーをやっていた影響で、小学校1年生から始めました。兄がクラブを移るのに付いていき、2年生からはラソス香月SSCというチームに入りました。6年生の時の全日本少年サッカー大会(全少)は、県大会1回戦負けくらいだったと思います。ポジションはセンターバックを中心にいろいろやっていました。でも、その時から「俺は将来プロになるんだ」っていう謎の自信があったんです。

―クラブではなく中学の部活動へ。

はい、兄弟3人とも中学校のサッカー部でした。強いクラブではギラヴァンツ北九州のアカデミーがあって友達も通っていましたが、バスで練習に通うのが面倒だな…って(笑)。割と緩い部活だったと思います。僕が1年生の時に県大会で3位になりましたが、自分たちが3年生の時の中学総体は地区大会の1回戦で負けてしまいました 。

―強豪・九州国際大学付属高校へ進学した経緯は?

中学で県3位になった時の代にいた兄が、九州国際大附属高校に進学していたんです。その縁で練習に参加させてもらうことができ、なんとか拾ってもらったという感じです。高校からはフォワードにポジションが固定になりました。1年生の時はフォワードの中で3番手からのスタートでしたが、9月にはBチームに上がることができ、その年の新人戦にも出場させてもらいました。2年生の時の新人戦では県大会を制覇し、さらに九州大会で準優勝できたのが、僕のサッカー人生での最高成績かもしれません。3年生になる直前に新型コロナ禍が直撃し、インターハイは中止になってしまいました。もちろん悔しい思いもしましたが、誰もいない公園にこっそり集まって練習したり、一人で黙々と練習したりと、いつもの高校生活とは違う“非日常”の中で、今振り返れば良い時間を過ごせたと感じています。

大学での成長と、プロへの扉

―その後、関東学院大学へ進学されました。

いくつかの大学から声を掛けていただき、練習に参加した中で「いいな」と感じたのが関東学院大学でした。1年生の時からベンチ入りさせてもらったのですが、全国レベルの選手たちに囲まれて、初めてレベルの差を痛感しました。1学年上には狩野海晟選手(山形から福島ユナイテッドFCへ期限付き移籍中)もいました。3年生の時に関東大学サッカーリーグ2部で準優勝し、創部以来初めてとなる1部昇格を果たしました。その年は2桁ゴールも達成できました。初めて経験した1部の舞台は、そこまで力の差は感じませんでしたが、中村草太選手(当時・明治大、2024年関東学生リーグMVP。サンフレッチェ広島)のような、一人で局面を打開できる選手がいる世界でした。個人としては目標の2桁ゴールに一歩届かず9ゴールに終わり、チームも残留を果たすことができず、力の足りなさを感じました。

―プロを本格的に意識したのはいつ頃ですか?

関東学院大学は横浜F・マリノスと提携していて、練習に参加する機会があったんです。そこで「ちょっとやれるかも?」と感じていた中、大学1年の10月にマリノスの練習生としてJエリートリーグに出場する機会をもらい、そこでハットトリックを決めることができました。その時に「俺、やれるかも」と勝手な確信に変わりましたね。マリノスやジュビロ磐田など、いくつかのクラブから声を掛けてもらい練習に参加していた中、山形には大学4年の4月に1週間、練習参加しました。そこで正式にオファーをいただきました 。「やっとオファーが来たか!」という気持ちでしたね。3日ほど考え、両親や大学の監督に相談して、契約する決断をしました。

モンテディオ山形の一員として

―初めて山形に来た時の印象はいかがでしたか?

「田舎のおばあちゃんちみたいだな」というのが第一印象です(笑)。車が必要だな、とも思いました。クラブハウスはきれいですし、チームの皆さんは本当にいい人ばかりで、すぐに「いいところだな」と感じました。クラブのスタッフの方や海晟くんに食事に連れて行ってもらったのですが、ごはんが本当においしくて感動しました。

―2024年は特別指定選手として3試合に出場しました。スタジアムの雰囲気はどうでしたか?

サポーターの皆さんの熱量にとにかく驚きました。こんなにのどかな雰囲気の街なのに、スタジアムにはこんなにたくさんの人が集まって、こんなに大きな声援が湧き上がるんだ!って。ここでサッカーができたら本望だ、と心から思いました。

―そして2025年ルーキーイヤー。ここまでの手応えは?

1月からチームに合流しましたが、キャンプ中から「やれるな」という手応えは感じていました。自分自身が思っていた以上に試合に出場できていると感じています。ただ、3ゴールという結果には「もっと取りたい」というのが本音で、プロの世界の厳しさを実感しています。

―大学とプロで感じる違いはどんな点ですか?

戦い方が違うので単純な比較はできませんが、ボールを「止める」「蹴る」といった基本的なプレーの質が全く違うと感じました。

―特に印象に残っているゴールはありますか?

プロ初ゴールとなったロアッソ熊本戦は、両親が見に来てくれていたのでうれしかったですし、サガン鳥栖戦のゴールは、地元の北九州からたくさんの友達が応援に来てくれていたので、その前で決められてうれしかったです。でも、ゴールはどれも本当にうれしいです。もっと決めたいです!

1年目の現在地。できたこと、できなかったこと

―ルーキーイヤーも終盤ですが、ここまでで「できたこと」と「できなかったこと」を教えてください。

「できなかったこと」は、レレくん(ディサロ燦シルヴァーノ選手)の存在を脅かすことができなかったことです。もっと「俺がいるぞ」と、レレくんが脅威を感じるような存在になりたかった。もっと自分を貫けばよかった、とがればよかったなと思います。僕にとっての教科書的な存在だったのが(藤本)佳希くん(8月に山形から愛媛FCに移籍)だったんですが、キャンプの時から「もっととがっていい。ドリブルで駆け上がって自分一人でシュートまで行くなんて、若いうちしかできないんだから」とずっと言ってもらっていました。もっと練習して、佳希くんのように何でもできる選手になりたいです。

逆に「できたこと」は、日常生活からサッカーにフォーカスしようと意識していて、それは結構実践できました 。

―具体的にはどんなことを?

練習後に筋力トレーニングをして、しっかり食事を摂り、お風呂に入って、トレーナーの方にケアをしてもらったり、自分でストレッチをしたり… 。常にケアへの意識を高めて、サッカーのために何ができるかを考えて行動しています。いつもだいたい14時くらいまでクラブハウスにいますね。

―食事面で気をつけていることはありますか?

おかずの量を増やすようにしました。スーパーでお惣菜を買ったりして、自炊の時は自分でつくるメインのおかずに加えて、もずくや納豆、ひじきといった副菜をバランス良く食べるように心がけています 。

ピッチの外の素顔

―自炊は大学時代からですか?

大学の時は、アルバイト先の中華屋さんでまかないを食べさせてもらうことも多かったです。今は自炊と外食が4対6くらいの割合ですね。外食の際は、定食を食べることが多いです。

―練習後のオフの時間はどう過ごしていますか?

僕は一度家に帰ると外に出たくなくなるタイプなので、買い物などはすべて済ませてから帰宅します。家に帰ってからは、昼寝をして、ごはんを作って食べて、お風呂に入ってストレッチして寝る…という感じですね。たまにスターバックスで本を読むこともあります。

―どんな本を読みますか?

だいたい小説で、特に「半沢直樹」シリーズのような池井戸潤さんの作品が好きです。自己啓発系の本はちょっと苦手ですね。

―自宅でのリラックス法は?

お笑いがすごく好きなので、動画を見たりラジオを聞いたりしています 。「マユリカのうなげろりん!!」というラジオは毎週聞いていますし、富山のローカル番組「ランジャタイによりますと」はYouTube版を見るのが欠かせません。あとは、アレン様のYouTubeもよく見ています(笑)

未来へ向けて

―現在の課題と、どう向き合っていますか?

一番は守備のところですね。少しずつ良くなっているとは思いますが、まだまだです。コーチにも教えてもらいながら取り組んでいます。あとは「身体操作」です。僕は体が硬くて…。下半身と上半身の連動など、使い方について学んでいます。プロのトレーナーが毎日いる環境は本当にありがたいですし、これからもっと成長できると思っています。短所を改善することで、体幹の強さといった自分の長所をさらに伸ばしていきたいです。

―試合に出られない時のストレスはありますか?

「もっとやれるのに」という欲が出てきて、もっと試合に出たい!と思う時はありますが、人よりはストレスを感じにくいタイプかもしれません。試合に負けたり、出場できなかったりした日はもちろん悔しいですが、次の日まで引きずることはないですね。

―小学生の頃からあった「謎の自信」は今もありますか?

「プロになる」という目標を果たした瞬間に、すっとなくなりました。今はもう、一歩一歩着実に成長するだけです。

―今シーズンの残りの目標を教えてください。

あと2点決めて、シーズン当初に立てた「今季5ゴール」という目標を達成したいです!

―将来の夢は?

あまり遠い未来の目標を立てるタイプではないんです。ただただ、常に得点を決め続けられる選手でありたいです。

―最後に、サポーターの皆さんへメッセージをお願いします。

いつも温かい応援、本当にありがとうございます。山形でもっともっと点を決めて、皆さんと一緒に「ブルイズ」を歌いたいです!これからも応援よろしくお願いします!

〈これまでのプレスインタビュー〉

◎横内昭展監督(2025.09.01掲載)(リンク:https://yamagatadoor.com/montedio/87

◎中村亮太郎選手(2025.09.01掲載)(リンク:https://yamagatadoor.com/montedio/196

この扉の向こうに、新しい山形を発見。