損保ジャパンpresents防災対談
皆で育む、やまがたの防災
― 受け継がれる火消しの精神と、女性防災士の視点
「山形は災害が少ないから大丈夫」——そんな“安全神話”を乗り越え、地域の命を守るためには何が必要でしょうか。明治時代から続く「火消し」の精神を継承する損保ジャパン山形支店の後藤圭吾支店長と、地域に根差した「日々減災」を提唱する細谷真紀子さん。それぞれの最前線で活動する二人が、山形の防災の現状と、次世代へつなぐ未来を語り合いました。

損保ジャパン山形支店の後藤圭吾支店長(左)と、山形県自主防災アドバイザーとして活躍する細谷真紀子さん(ゲンサイデイズ代表)
明治から受け継がれる「火消し」のDNAと、現場で育つ使命感
細谷さん:損保ジャパンさんは「HIKESHI DNA(火消しの精神)」という言葉を大切にされていますね。防災に携わる者として、その原点についてぜひ伺いたいです。地域に根差した活動を積極的に展開されている背景には、どのような思いが込められているのでしょうか。
後藤支店長: 弊社は明治21年に日本初の火災保険会社「東京火災保険会社」として誕生しました。当時は保険を販売するだけでなく、社員が私設消防団を結成し、自ら現場で消火活動を行う「火消し」の役割も担っていたのです。この「地域住民の暮らしを守る」という志は、現在も当社のDNAとして受け継がれています。
今日、そのDNAは、有事の際に保険金をお届けして経済的復興を支援するという使命だけにとどまりません。能登半島地震や青森県東方沖を震源とする地震などの災害時、まず現地の社員や代理店さんがお客さまの元へ駆けつけ、「地域のために何ができるか」を自ら考え行動する、その姿勢そのものに息づいています。
さらに、全国から保険金支払部門の社員に加え、若手社員を2〜4週間ほど被災地へ派遣し、一日も早い復旧に向けた保険金のお届けを最優先で行っています。現地での対応は、社員一人ひとりが自らの社会的役割を肌で感じる貴重な体験となり、彼らを一回りも二回りも大きく成長させてくれるのです。
「出羽三山に守られている」 山形の安全神話と、見えざるリスク
後藤支店長:細谷さんは山形県自主防災アドバイザーとして各地を回られていますが、県民の防災意識の現状をどう見ていらっしゃいますか。山形には「山形は大丈夫だ」といった、驚くほどの安全神話があるようにも感じます。実際、保険の目線で見ると山形県の地震保険の付帯率は約71.2パーセント(※1)と東北で一番低く、水害の補償加入率も約57.2パーセント(※2)で全国ワースト4に入ってしまっているのが現状です。
※1 出典:損害保険料率算出機構「地震保険 地方別付帯率(2024年度)」
※2 出典:損害保険料率算出機構「火災保険 水災補償付帯率(2024年度版)」
細谷さん:「蔵王や出羽三山に守られている」という信仰や文化なのか、こういった話は県内のどこに行ってもお聞きします。自然の恵みが豊かということと、災害が起きることは表裏一体。土砂災害の跡である扇状地ではおいしい果物が育ちますし、水害が起きて肥沃な土地が広がり、おいしいお米ができます。「母なる最上川」と言われるように川は人の暮らしを支え、豊かな文化をつくり出しています。けれど、人家に被害が出ることを恵みとはいいません。近年は令和2年、4年、6年と2年おきに大雨被害が発生していますし、能登の地震の影響で津波注意報も出たことで、防災意識は確実に高まっていると感じます。
私は「ゲンサイデイズ」という団体名で「日々減災」を提唱しています。毎日の楽しい暮らしの中に防災・減災を溶け込ませるという考え方です。防災は「危機管理」という専門的な側面だけではなく、おばあちゃんの知恵袋のような、みんなに役立つ「暮らしの知恵」という見方もあります。私は、山形で育った子どもたちが、将来全国や世界へ飛び立っても、どこでも安心して自分の命を守れる「生きる力」を身につけてほしいと願っています。

避難所運営を変える「女性の視点」と、人と人をつなぐ力
後藤支店長:本当にその通りですね。命と暮らしを守る上で、細やかな女性の視点も非常に重要になってきます。弊社の山形支店でも「地域の役に立ちたい」と志す多くの女性社員が、自発的に「防災士(※)」の資格を取得しています。今年、山形県主催で細谷さんが講師を務めた「花咲く減災」というセミナーに参加した社員が、セミナーで提供された災害食を社内で再現し、新聞紙で作った紙食器を使って試食してみるなど、さっそく実践に取り組んでいました。
(※)防災士とは、NPO法人日本防災士機構が認証する民間資格。「自助(自分の命は自分で守る)」と「共助(地域で助け合う)」の原則に基づき、平常時は防災意識を高める活動を、災害時には避難誘導や初期救助など、地域防災のリーダーとしての役割を担う。
細谷さん:それは嬉しいですね。これまでの防災は「男性が体を張って守る」という危機管理の文化が強く、女性の参画は炊き出しや応急救護に限定されるといった「性別役割分業」の見方が強かったように感じます。災害は日々の暮らしの中に起きる自然現象です。その結果、被害が起きても人々の「暮らし」を止めることはできません。国民の半数である女性の視点が入ることは、ごく当たり前のことで、すべての人にとって役立つ「人権の視点」そのものです。
また、女性が地域コミュニティに参画する際、防災士の知識は大きな「武器」になります。避難所において物は簡単にそろっても、被災者と解決策を「つなぐ」人材が全く足りていません。そこはDXやICTの力だけではどうにもならず、人が間に入らなければならない領域です。地域の女性たちが専門知識を生かしてコミュニティに入ってくれることは、連携力を深める上で本当にありがたいことです。

細谷さんと、損保ジャパン山形支店で防災士の資格を持つ女性職員の皆さん
親しみやすさが生む「防災のフック」と未来への伝承
細谷さん:損保ジャパンさんの「防災ジャパンダプロジェクト」も非常に親しみやすくて、防災を考える第一歩になりますよね。損保ジャパンのキャラクター「ジャパンダ」の愛らしさに引かれて親子で体験を待ちながら防災について対話している様子をよく見かけます。社員さんの元気で楽しそうな姿や手に取りやすい防災教育が、防災意識への「フック」をかけるとても良いきっかけになっています。
後藤支店長:ありがとうございます。主に小学生以下のお子さんとご家族を対象に、非常用持ち出し袋の中身を考える輪投げゲームや、細谷さんも実践されている「避難地図」作りなどを行っています。中にはジャパンダ目当てで突進してくるお子さんもいますが(笑)、和気あいあいと楽しんでいただくことが第一です。
なぜなら、そうした楽しい雰囲気の中から自然と、親子や友達と防災について会話が生まれることが、大切だと考えているからです。小さい頃に話したことや体験した記憶は、大人になった時に引き出しの一つになります。この活動を10年20年と続けること。そして、かつて参加したお子さんが大人になって「昔受けたよ」と、自身の経験を次の世代に語り継ぐために戻ってきてくれること。私たちは、そんな未来への「循環」を、この活動で作っていきたいですね。

誰もが「安心」と言える山形の未来へ
細谷さん:そうやって人と人で伝承され、文化になっていくんですね。テレビやインターネットに情報があふれる今だからこそ、本当に必要なものを見極める「想像力」が防災力につながります。まずは目の前の手の届く距離にいる人たちに「気づき」をまいていくことが重要です。損保ジャパンさんのような有事の大きなお守りとなる方々と連携し、明るく楽しい事前防災(災害前の備え)から復興(災害後の支え合い)まで、一緒に防災の輪を広げていきたいです。
後藤支店長:私たちは損害保険会社として地域の皆さまの暮らしを守る社会的使命がありますが、保険金をお届けするだけでなく、地域の皆さまと共に何ができるかが問われていると感じています。単なるお取引の関係を超えて、細谷さんのような志をもつ方々や、地域の企業、自治体、そして保険代理店の皆さまと深く連携すること。そして、県が推進する「やまがた教育パートナーズ」への参画などを通じて、未来を担う子どもたちのために、教育の現場から地域づくりに貢献していくこと。このように産官学の垣根を超え、一人よりも二人、十人と大きな安心の輪を広げていきたいです。
そして将来、この地で育った子どもたちが大人になった時、心から「山形ってやはり安心だな」と思っていただける社会の実現に向け、これからも尽力してまいります 。

/山形県の防災力強化へ、ともに取り組んでいきましょう\
【損保ジャパン】1888年に日本初の火災保険会社として誕生し、社員自らが消火活動も担った「火消し」の精神を現在も受け継いでいます。火災保険や地震保険、自動車保険などを幅広く扱い、有事の迅速な対応を心掛けるとともに、近年はAIやデジタル技術を活用した災害予測などリスクを「未然に防ぐ」取り組みにも注力しています。また子どもたちと保護者に防災を楽しく学べるコンテンツを提供する「防災ジャパンダプロジェクト」など、常にお客さまの視点で地域の安心な暮らしを支え続けています。
損保ジャパンのブランドヒストリー▶https://www.sompo-japan.jp/company/groupinfo/brand/sj_brand/history/pc/
防災ジャパンダプロジェクト▶https://www.sompo-japan.co.jp/csr/environment/eco/bousai/
【細谷真紀子さん】ゲンサイデイズ代表
山形県自主防災アドバイザー/内閣府避難生活支援リーダー・サポーター講師/内閣府避難生活支援コーディネーター
(一財)消防防災科学センター図上訓練指導員/防災教育コーディネーター
市民団体:ヤマガタ防災・減災Action!代表
写真:伊藤美香子









