【連載】「山形の中小企業の M&A」vol.9【高まる観光需要と成長戦略のM&A】

2026.06.30

「後継者がいない」「人手が足りない」。いま、山形県内の多くの経営者が抱えるこの悩み。その解決策として、M&A(企業の合併・買収)が当たり前の選択肢になりつつあることをご存じでしょうか。

山形新聞社とM&Aキャピタルパートナーズ(MACP)が共同で進める「地域共創プロジェクト」。本連載では、MACP企業情報部の古澤凱斗さん(天童市出身・山形市立商業高校卒)が、データと実例を交えて山形の中小企業がとるべき戦略を解説します。


【vol.9】高まる観光需要と成長戦略のM&A—ブランドを守り事業成長を目指す一手

(2026年6月掲載) 

観光庁の調査によると、2025年の国内宿泊旅行者数や旅行消費額は前年を上回り、観光産業は堅調に拡大を続けています。宿泊施設をはじめとする観光関連企業は、この需要増への対応と持続的な事業成長が求められています。今回は、有名観光地でホテルを運営する企業が、後継者不在の課題を解決し、異業種とのM&Aによってブランドの維持とさらなる成長を実現した実例を紹介します。

後継者不在に直面し最適な承継先を模索
地域に根ざしたサービスで支持を集めてきた有名観光地のホテルは、経営者の高齢化により後継者不在の課題に直面していました。オーナーは従業員の雇用や地域への貢献を継続したいと願い、事業承継の選択肢としてM&Aを模索。最大の懸念であった「ホテルブランドの維持と、従業員や顧客からの信頼保護」という条件を真摯に受け止め、共に歩める譲受企業を探し求めました。

異業種との提携で新たな価値を創出
譲受先に選ばれたのは、事業の多角化を目指し観光産業への参入を模索していた大手菓子製造企業です。譲受企業が既存の運営方針を尊重し、ホテルを発展させる具体策を提示したことで早期合意に至りました。M&A後も従来のホテル運営を継続しつつ、譲受企業が培ってきた商品開発力やブランディングのノウハウを融合。地元食材を活かした独自サービスなど、宿泊に新たな付加価値を提供しています。

強固な経営基盤が成長を加速させる
宿泊需要のさらなる拡大が見込まれる中、観光関連企業が需要に応えるためには、施設改修や人材育成に向けた強固な経営基盤の構築が有効となります。自社のブランドや顧客を守りつつ、パートナー企業のリソースを活用することで、独力では難しい事業成長を加速させることが可能です。後継者問題や成長に課題を抱える経営者の皆さまには、M&Aを経営戦略の一手としてぜひ検討していただきたいです。

【筆者プロフィル】
古澤 凱斗さん:M&Aキャピタルパートナーズ企業情報部 主任
天童市出身。山形市立商業高校―明治大学商学部卒。大手証券会社にて富裕層・法人向けの資産運用・M&Aアドバイザリー業務を経験後、家業の事業承継を契機にM&A専門アドバイザーとして当社に入社。山形・東北を中心に、メーカー、商社、IT、自動車、観光業界など幅広い分野でM&A支援実績を有する。

【事業承継・M&A ご相談窓口】
山形新聞社広告局「地域共創プロジェクト」係
TEL: 023-622-5274 (9:00~17:00)
https://www.yamagata-np.jp/ad/macp/


この扉の向こうに、新しい山形を発見。