【連載】「山形の中小企業の M&A」vol.6【後継者不在と高齢化課題解決のM&A】
「後継者がいない」「人手が足りない」。いま、山形県内の多くの経営者が抱えるこの悩み。その解決策として、M&A(企業の合併・買収)が当たり前の選択肢になりつつあることをご存じでしょうか。
山形新聞社とM&Aキャピタルパートナーズ(MACP)が共同で進める「地域共創プロジェクト」。本連載では、MACP企業情報部の古澤凱斗さん(天童市出身・山形市立商業高校卒)が、データと実例を交えて山形の中小企業がとるべき戦略を解説します。
【vol.6】後継者不在と高齢化 課題解決のM&A~全員合意で選んだ新たな成長の道
(2026年5月掲載)
帝国データバンクの調査によると、2025年の企業の休廃業・解散件数は6万7,949件と前年に引き続き高水準で推移しています。人手不足や物価高などが経営を圧迫し、黒字廃業を選ぶ企業も少なくありません。地域経済にとって価値ある事業の消滅を防ぐことは、重要な課題です。今回は、後継者不在と社員の高齢化という課題に対し、社員全員の合意のもとM&Aで新たな成長の道を選んだ老舗専門商社の実例を紹介します。
全員合意で決断した事業と雇用の承継
次世代自動車やロケット開発に必要な機器を供給する老舗の研究開発機器専門商社は、厚い顧客基盤を持ち順調に経営を続けてきました。しかし、2代目社長は後継者不在とベテラン社員の高齢化に悩んでいました。将来を見据え、社長は社員全員と対話を進めて情報を開示。事業と雇用を守り抜くため、最終的に従業員一人ひとりから書面で同意を取り付け、「全員合意」のもとでM&Aによる譲渡を決断しました。
重ならない強みで強力なシナジーを創出
譲渡先に選ばれたのは、広域の販売網を持つ老舗の機械系専門商社です。研究開発機器に強い譲渡企業とは主要顧客や案件が重なりにくく、互いの強みを活かせる関係にありました。「顧客に誠実である」という価値観の一致も決め手となりました。両社が協業することで、装置や計測機器の一括提案、保守・校正のワンストップ対応が可能となります。現場のスキルを守りつつ、共同での新規開拓により販路拡大を狙います。
早めの情報収集が最善の事業承継へ
「諦め型」の廃業が高水準で推移する中、黒字経営のうちに最善の選択をとることで、自社のブランドや雇用、顧客基盤を守り抜くことができます。技術や顧客からの信頼が健全な時期にこそ、最良の相手とのM&Aが可能となります。地域経済に欠かせない事業を未来へ託し、さらなる成長を目指すためにも、経営者の皆さまには早めの情報収集から始めていただきたいです。
【筆者プロフィル】
古澤 凱斗さん:M&Aキャピタルパートナーズ企業情報部 主任
天童市出身。山形市立商業高校―明治大学商学部卒。大手証券会社にて富裕層・法人向けの資産運用・M&Aアドバイザリー業務を経験後、家業の事業承継を契機にM&A専門アドバイザーとして当社に入社。山形・東北を中心に、メーカー、商社、IT、自動車、観光業界など幅広い分野でM&A支援実績を有する。
【事業承継・M&A ご相談窓口】
山形新聞社広告局「地域共創プロジェクト」係
TEL: 023-622-5274 (9:00~17:00)
https://www.yamagata-np.jp/ad/macp/







