【連載】「山形の中小企業のM&A」vol.3  農業経営者が抱える事業承継

2026.04.23

「後継者がいない」「人手が足りない」。いま、山形県内の多くの経営者が抱えるこの悩み。その解決策として、M&A(企業の合併・買収)が当たり前の選択肢になりつつあることをご存じでしょうか。
山形新聞社とM&Aキャピタルパートナーズ(MACP)が共同で進める「地域共創プロジェクト」。本連載では、MACP企業情報部の古澤凱斗さん(天童市出身・山形市立商業高校卒)が、データと実例を交えて山形の中小企業がとるべき戦略を解説します。 第3回となる今回は、本県の基幹産業である「農業」が抱える事業承継問題に焦点を当てます。


【vol.3】農業経営者が抱える事業承継問題 ~課題解決と事業成長のためのM&Aとは
(2026年3月掲載)

農業従事者の高齢化や資材価格の高騰などを背景に、農家の廃業・離農が急増しています。2025年の農林業センサスでは、基幹的農業従事者が5年前から34万人以上減少し、過去最大の減少率となりました。政府の支援策にもかかわらず人手不足は深刻化し、供給不足や価格高騰への懸念も広がっています。こうした中、事業承継ニーズが高まり、農業分野におけるM&Aの活用は拡大傾向にあります。この流れを背景に進む農業M&Aの実例を紹介します。

きっかけは後継者不在、事業承継と成長実現のためM&Aを決断
きのこや露地野菜の生産、加工野菜の製造・販売を手がける企業は、高品質な作物づくりと直販の導入により成長を遂げてきました。新たな栽培方法への挑戦を続けることで企業規模を拡大する中、オーナーは60歳を迎え事業承継を検討。オーナーは息子に継がせることも考えましたが、「継ぐ気がない」と言われて親族内承継を断念。そして、様々な選択肢の中から、事業承継と事業成長の両方を実現できるM&Aを決断しました。

強固なネットワークを獲得し、循環型農業の実現を推進
譲渡先に選ばれたのは、食料品の卸売業を中心に企業成長支援の実績を持つ投資会社でした。譲渡オーナーは、高い技術力を活かし循環型農業を確立するため、経営視点の強化が必要と考え、事業成長の知見を持つ同社とのM&Aを決断。譲受企業はオーナーの里山再生への想いに共感し、ネットワークを活かしたマーケティングや物流、海外展開の支援を行うことで、従業員の雇用を守りながら循環型農業の推進と企業成長を後押ししています。

永続的な経営と農業成長に導くM&A
農業従事者の高齢化により廃業が進む中、親族内承継が難しい場合はM&Aによる第三者承継が有効な選択肢の一つとなります。安定した経営基盤を持つ企業の傘下に入ることで、経営効率の向上や人材確保、事業成長などの課題解決が可能となります。農業の未来を守るためにも、経営者の皆さまにはM&Aという選択肢があることをぜひ知っていただきたいです。

【筆者プロフィル】
古澤 凱斗さん:M&Aキャピタルパートナーズ企業情報部 主任
天童市出身。山形市立商業高校―明治大学商学部卒。大手証券会社を経て、家業の事業承継を契機にM&A専門アドバイザーとして入社。山形・東北を中心に幅広い分野で支援実績を持つ。

【事業承継・M&A ご相談窓口】
山形新聞社広告局「地域共創プロジェクト」係
TEL: 023-622-5274 (9:00~17:00)
https://www.yamagata-np.jp/ad/macp/


この扉の向こうに、新しい山形を発見。