【連載】「山形の中小企業の M&A」vol.12【脱ファミリー化が進む事業承継とM&A

2026.08.21

「後継者がいない」「人手が足りない」。いま、山形県内の多くの経営者が抱えるこの悩み。その解決策として、M&A(企業の合併・買収)が当たり前の選択肢になりつつあることをご存じでしょうか。

山形新聞社とM&Aキャピタルパートナーズ(MACP)が共同で進める「地域共創プロジェクト」。本連載では、MACP企業情報部の古澤凱斗さん(天童市出身・山形市立商業高校卒)が、データと実例を交えて山形の中小企業がとるべき戦略を解説します。


【vol.12】脱ファミリー化が進む事業承継とM&A——歴史と従業員を守り抜く新たな選択

(2026年7月掲載) 

帝国データバンクの調査によると、2025年の企業の後継者不在率は50.1%と改善傾向にあります。一方で、親族外の役員や第三者へ経営を託す「脱ファミリー」の動きが加速しており、事業承継の有効な手段として内部昇格やM&Aが定着しつつあります。今回は、人材不足や業界の構造変化という課題を抱える老舗の設備工事業者が、従業員と事業を守るために異業種の老舗メーカーとのM&Aを決断した実例を紹介します。

現場第一主義を貫き 次代へ繋ぐための決断
発電設備やプラントの保温・耐火工事を手がける創業約60年の企業は、確かな技術力でエネルギーインフラを支えてきました。しかし、業界の構造転換や深刻な若手人材の確保難に直面しました。親族や社内への承継も模索しましたが、経験や負荷を考慮して困難と判断。顧客の設備を稼働させ続け、長年支えてくれた従業員の雇用を守るため、持続可能な形で事業を次代へ託す手段としてM&Aを決断しました。

歴史と価値観を共有 双方向のシナジー創出
譲渡先に選ばれたのは、創業140年の歴史を持つ老舗の耐火物メーカーです。異なる業態ながら、互いに「現場を重んじる」という実直な姿勢で共鳴しました。提携後、譲渡企業は単独では対応が難しかった工事を引き受けられるようになり、譲受企業も新たな領域への本格参入を果たしました。互いの強みを活かした双方向での工事発注が生まれるなど、すでに現場レベルでの相乗効果が発揮されています。

親族外への事業承継 未来を拓く成長戦略
日本企業において、家族間での承継から第三者へ経営権を移譲する「脱ファミリー」の動きは確実に強まっています。親族内での承継が難しい場合でも、自社の強みを正しく評価し、価値観を共有できるパートナーと結びつくことで、事業を存続・発展させることが可能です。従業員や取引先を守り、会社を次のステージへ進める選択肢の一つとして、まずは早期の情報収集から始めていただきたいです。

【筆者プロフィール】
古澤 凱斗さん:M&Aキャピタルパートナーズ企業情報部 主任
天童市出身。山形市立商業高校―明治大学商学部卒。大手証券会社にて富裕層・法人向けの資産運用・M&Aアドバイザリー業務を経験後、家業の事業承継を契機にM&A専門アドバイザーとして当社に入社。山形・東北を中心に、メーカー、商社、IT、自動車、観光業界など幅広い分野でM&A支援実績を有する。

【事業承継・M&A ご相談窓口】
山形新聞社広告局「地域共創プロジェクト」係
TEL: 023-622-5274 (9:00~17:00)
https://www.yamagata-np.jp/ad/macp/


この扉の向こうに、新しい山形を発見。