【連載】「山形の中小企業の M&A」vol.13【過去最多の「退職型」倒産 人材課題を解決するM&A】

2026.11.05
氏

「後継者がいない」「人手が足りない」。いま、山形県内の多くの経営者が抱えるこの悩み。その解決策として、M&A(企業の合併・買収)が当たり前の選択肢になりつつあることをご存じでしょうか。

山形新聞社とM&Aキャピタルパートナーズ(MACP)が共同で進める「地域共創プロジェクト」。本連載では、MACP企業情報部の古澤凱斗さん(天童市出身・山形市立商業高校卒)が、データと実例を交えて山形の中小企業がとるべき戦略を解説します。


【vol.13】過去最多の「退職型」倒産 人材課題を解決するM&A——社員の未来を第一に考えた事業承継

(2026年10月掲載) 

帝国データバンクによれば、2026年の「従業員退職型」倒産が過去最多ペースで推移中です。待遇改善の遅れなどからキーマンの流出を止められない中小企業の経営リスクが浮き彫りとなっています。人手不足による事業継続の危機が高まる中、打開策としてM&Aを検討する経営者も少なくありません。今回は、空間演出を手がける企業が人材難を打破し、社員の働く場を残すために承継を決断した実例を紹介します。

確かな技術で築いた実績と人材確保という経営の壁
結婚式場の空間演出などを手掛ける企業は、独自の技術力で確固たる地位を築いてきました。コロナ禍による経営危機を社長一人の覚悟で乗り越え業績を回復させましたが、属人的な体制や深刻な人材確保の壁に直面しました。このままでは会社の存続が危ぶまれると考えた社長は、長年会社を支えてきた社員が安心して働き続けられる環境を残すため、M&Aによる事業承継を模索し始めました。

事業の独自性と雇用を守る双方の課題を解決する提携
譲渡先選びで最も重視したのは、事業や組織風土を維持しつつ、社員の雇用を守ることでした。出会ったのは、空間演出の内製化を目指す貸会議室や結婚式場などを運営する上場大手です。M&A後も専門分野として事業が尊重されることに加え、懸案だった人材や資本面で力強い支援が得られる点に安心感を抱き、社員の未来を託す相手として傘下入りを選びました。

人材流出の危機を乗り越え企業を未来へ導く経営判断
提携後も組織体制を保ちつつ、グループが展開する大型施設の設備導入を一任されるなど、早くも業績拡大の成果が表れました。人材流出による経営リスクが社会問題化する中、他社の経営資源を活用するM&Aは、従業員の雇用を維持し事業停滞を防ぐ有効な打開策となり得ます。事業の先行きに課題を感じる場合は、情報収集を行い、最適な選択肢を検討してみることをおすすめしたいです。

【筆者プロフィール】
古澤 凱斗さん:M&Aキャピタルパートナーズ企業情報部 主任
天童市出身。山形市立商業高校―明治大学商学部卒。大手証券会社にて富裕層・法人向けの資産運用・M&Aアドバイザリー業務を経験後、家業の事業承継を契機にM&A専門アドバイザーとして当社に入社。山形・東北を中心に、メーカー、商社、IT、自動車、観光業界など幅広い分野でM&A支援実績を有する。

【事業承継・M&A ご相談窓口】
山形新聞社 広告局広告管理部「地域共創プロジェクト」係
TEL: 023-622-5274 (9:00~17:00)
https://www.yamagata-np.jp/ad/macp/


この扉の向こうに、新しい山形を発見。